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ノモンハンと産児制限

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ベッドでごろごろできる休日。本棚にある村上春樹の「ねじまき鳥クロニカル」を十数回目に手にとって読んだ。この物語の重要なキーワードであるノモンハン事件。

ノモンハン事件とは何か?
詳しくはグーグルのウィキぺディアで調べることができる。1939年に日本をバックにした満州帝国とソ連をバックにしたモンゴル共和国が内モンゴルと外モンゴルの間にある小さな川ハルハ河を舞台に領土戦争を行った戦争だ。双方合わせて四万人近くが亡くなった。グーグール・アースで見るノモンハン(内モンゴルのフルンバイル市(呼論貝弥市)から南にくだったハルハ河近辺)は今も草原と岩以外何もないところ。こんなところで日本人、漢民族やモンゴル人、満州人や朝鮮人、ソ連人やソ連から送られた東欧の兵士たちがばかばかしいほど無意味に死んでいった。
グーグルのウィキぺディアでノモンハンのことを調べていたら、「督戦」という言葉ができきた。何かと思ったら、兵士が逃げださないようにすること。ノモンハンの戦いでは、ソ連の戦車には皆外から南京錠が掛けられていたという。本人の意思だけでは戦車が爆破したとしても逃げ出せない。昔のチンギスハーンの戦争では、異国でつかまえた捕虜を次の戦いで一番前にだし、盾としたという。進んでも死、退いても殺されるというわけだ。

今日は敬老の日で、長崎の老人ホームに入っている祖母に電話した。もうすぐ命の炎が消えそうで、とても悲しかった。祖父はもう亡くなったけど、この祖母と祖父がピョンヤンから引き揚げてこなかったら、その時父を死なせずに日本に帰国したからこそ私も生を受けることができた。大陸から日本への引き揚げの最中にはいくつもの死が襲いかかり、生きて帰れたのは僥倖であっただろう。

そして長崎や福岡で引き揚げ者たちを迎えたものは、強制的な堕胎手術だった。堕胎手術というほど聞こえのいいものではなく、ロシア兵などに強姦された女性などは片っ端から婦人検査におくられ、子宮をまるごと麻酔なしに引きずり出された。

母とそんなことを話していたら、母が意外なことを言った。
「たぶん今では誰も言いたがらないけど、戦後の日本では産児制限をしたのよ。食料が足らないから子供は二人までって決められていた。近所に住む女の人は3人目の子供を身籠っていて、何度も保健所の人が「おろせ」って言いに来てた。幸いその人は産むことができたけど、今の少子化の日本じゃ考えられないようなことを昔の日本ではやっていた」

ノモンハン。ハルハ河。満州帝国の首都:新京があった長春。チャーズとよばれる地獄があった吉林。・・中国の東北地方にはまだ一度も足を踏み入れていない。いつかこれらの土地に呼ばれる日が来るだろうか?

ノモンハンを歴史学者ではなく、小説家である村上春樹が描くことによってノモンハンは多くの人に印象を残しただろう。村上春樹自身がこのようなことを言っている。「自分は想像して描くのではなく、実際にあったはずの光景を映し出す」

戦争がないということ、自分につながる人たちが命をつないで自分が生まれたということに改めて感謝。そしてこの血がまた次につながりますように。
Commented by office-maki at 2009-10-10 16:53
こんなことを考えていたらJICAのHPで「ハルハ河事件」なんて記事を見つけてしまった。9月6日、ノモンハン事件の戦勝60周年記念を祝してモンゴルではロシア大統領を呼んで祝典が行われたらしい。ちょうどこのころノモンハンが頭をかすめたから、テレパシーだった!
by office-maki | 2009-09-21 21:05 | 中国が好き | Comments(1)

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