竹久夢二2 夢二とお島さん
2010年 04月 17日
今からちょうど100年前の、明治43年(1910年)夏、夢二は千葉県銚子海鹿島で美しい娘:長谷川カタに出会う。月の輝く浜辺、咲き乱れる黄色いオオマツヨイグサ・・。夢二はこの女性のことを「お島さん」と呼び、この淡い恋の思い出は後に「宵待草」という3行詩に結実する。
「宵待草」 歌詞
待てど暮らせど来ぬ人を
宵待草のやるせなさ
今宵は月も出ぬさうな
「宵待草」原詩
遣る瀬ない釣り鐘草の夕の歌が
あれあれ風に吹かれて来る 待てど暮らせど来ぬ人を
宵待草の心もとなき 想ふまいとは思へども
我としもなきため涙 今宵は月も出ぬさうな
1910 年(明治43年)夢二27歳の夏、寄りを戻した岸たまきと息子虹之助を伴い、房総方面に避暑旅行する。銚子から犬吠崎に向かい、あしか(海鹿)島の宮下旅館に滞在した。ここは太平洋に向かう見晴らしの良さで、明治から多くの文人が訪れた名所。
そこで夢二は、夏休みに家族を訪ねて来た秋田出身の長谷川カタ(賢:当時19歳)に出会う。親しく話すうち彼女に心を惹かれ、夢二は呼び出してつかの間の逢瀬を持つ。散歩する二人の姿はしばしば近隣住民にも見られている。しかし結ばれることのないまま、夢二は家族を連れて帰京する。カタも夏休みが終わると成田へ戻り、父親は娘の身を案じ結婚を急がせた。4ヶ月後の12月、夢二はカタに会いに再び房総を訪れており、別れの際にカタの印象を日記に残している。
おしまさんは実に清く、そして、やさしく、純な少女だった。そして、すこしも自分と他と欺ったことのない人だ。月のように清い少女だ。
・・それにしても復縁した妻と子供を連れている時に他の女を好きになってしまう夢二って、やっぱり好きになれない。
このブログ内の夢二記事:
竹久夢二1:夢二とたまき
竹久夢二2:夢二とお島さん
竹久夢二3:夢二と彦乃
竹久夢二4:夢二とお葉
夢二に対する興味の発端は、夢二の2番目の女:彦乃が女子美の卒業生であり(私は女子美の附属中学高校の出身です)、女子美がかつて菊坂にあり(母校:芸大から菊坂は遠くありません)、自分も絵描きとしてまた女子美の卒業生や芸大のモデルに興味をもったからでした。
夢二やお葉について調べている方は、必ず書籍等をよくお調べになってください。