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ハローワークの女(ひと)

ハローワークに行ったことがある。府中市のハローワークはいつ行っても求職活動や失業保険の受給のためにきた人であふれていて、自分の番がくるのに先日は2時間もかかった。ハローワークの職員たちはてきぱきと、書類の記入ミスなくきっちり働いている。ハローワークは厚生労働省の所轄だけど働いている人達は公務員?それとも独立行政法人の職員?アルバイトや派遣社員もいるだろうが、来る日も来る日も失業者のために働いている。そんな彼らを私は待っている間、2時間眺めていたが、常にヒトに見られる彼らは勤務時間中気を抜く場所も時間もないだろう。人々のために働きとおす職種ってほかにはないのではないか。ハローワークで働いている人達はエライ!!

最近、ハローワークで働くある女性が話題になったことがあった。その女性を描いた作品が、生きている作家としては最高値の35億円で売買されたからだ。

その作家の名前はルシアン・フロイト。精神分析で有名な精神学者フロイトの孫である。ふつう絵画作品の価値は作家の死後に決まり、生きている作家の作品が高値で取引されることは非常にすくない。しかしフロイト作品はコレクターが多く、作品は値が非常に高い。

そんな「生ける神話」フロイトの作品の、史上最高値をつけた作品がこちら。
ハローワークの女(ひと)_c0192202_1917145.jpg
モデルはイギリスのハローワークの職員をしている女性だ。ハローワークの女(ひと)_c0192202_19173743.jpgこの女性いわく、この作品のモデル料はなんと20ポンドだけ!日本円にしておよそ4000円。私が裸婦モデルさんを使うとしたって2-3万円は払うと思う。それなのに天下のお金もち作家フロイトの裸婦モデル料がたったの4000円!といってもこの女性スーさんは職業モデルではなく、友人であるそうだからお金は目当てではなく「著名作家に描いてもらえただけでたいへんに名誉で光栄に思う」ということらしいが、この作品の販売料35億円がすべて作家の元へ行くわけではないけど、それにしたって10倍の4万円、いや100倍の40万円くらいは払ってもいいとおもう!

ハローワークの女(ひと)_c0192202_191872.jpg
フロイトは2005年には著名なスーパーモデル・ケイトモスを描いている。こちらの作品はおよそ8億円で取引されたという。

ハローワークの女(ひと)_c0192202_19185737.jpgこの両作品のモデルは「ものすごく細い」「超有名人な美女」と「異様に太っている」「そこらへんにいそうなおばさん」ととても対照的だけど、作品の訴えかける力は売値に比例して、「異様に太っている」作品の方が強い。フロイトはすでに87歳、87歳の人間がこの力強い作品を描いたことにも驚きだ。またモデルの女性が職業安定所の職員という不景気・求職の時代における親切な天使を描いているのに、そこにはモデルの持つ美徳・美しさよりも人間の本質にある醜悪さ・物凄さ・怠惰さが描かれている。なにか解説をつけなくても、圧倒される作品だ。

「今の私を誰かが描いてくれるとしたら、私の中にある何が描かれるのだろう?」そんなことを思った。
by office-maki | 2010-05-14 19:20 | アートな話 | Comments(0)

制作した作品と、日々の感動を自由気ままにアップしています。下の各カテゴリ(●絵、★文章)もどうぞご覧下さい(^-^)♪ なかま まき


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