「手塚治虫のブッダ」展
2011年 05月 02日
(http://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=ctg&cid=1)
「展示品は東博所蔵の仏像でしょ?手塚治虫の原画を見せるだけでプラス200円も払わせるのか」と、見る前は思っていた。実際には非常にいい企画展で、来館者も多かった。深大寺や奈良博所蔵の仏像も展示されており、展示品がいい。
そのなかでも、手塚治虫の原画に圧倒された。A4サイズ程度の原稿用紙に描かれた「ブッダ」の原稿。印刷物で見る通りの美しさで、なかでもカラ―作品は絵に打ち込められた魂が感じられ、感動を覚えた。不覚にも涙が出るほど感動した。
表紙用に描かれた12枚のブッダの生涯を表す絵。祝福を受けた生誕、物質的には恵まれているが、心の枯渇をぬぐいきれない王子時代、王としての地位の約束、美しい妻を得るという恵まれた生活が精神に冷たい刃となって貫く青年期、この世の煩悩を捨て、何も持たぬが瞳は輝く出家、尊い心の花が開こうとしている修業時代、炎のように熱い情熱で悟りを得ようとしている頃、瑞々しい樹木のように仏教の教えを広げる説法時代、悟りを得て黄金のように輝く中年期、更に豊熟な壮年期、心の静けさをもった老年期、輝かしい教えと死の間にいる晩年期、そして涅槃へと旅立つ最晩年の姿。
これを見るだけでも会場を訪ねる価値は十分にある。東京国立博物館の「手塚治虫のブッダ」展は、6月26日まで。今日5月1日から写楽展も開催され混雑が予想されるから、11時頃や2時過ぎなど比較的空いてる時間に行くのがお勧めです。