日本人の季節感
2011年 08月 27日
本館の「総合文化展示」。作品保存のために適期的に作品がかわるのだけれど、季節にちなんだ作品が展示されている。
菊に桔梗、雁に鶴、葡萄の色付く葉、中秋の名月‥美しい作品ばかりが並ぶ。ワビサビの変化にあふれた秋は、日本画家が描くのを得意とする季節でもある。
屏風と彫刻で気に入った作品がいくつもあったので紹介。
こちらは「秋草白菊図屏風」。確かな構図と筆に絵師の自信が漲る。きれいだ。
深江芦舟「蔦の細道図屏風」。貴族の若者が、都へ行く修験僧に恋人に当てた恋文を頼む様子を描いた物だって。きゃーロマンチック〜!
金箔と山の境目が現代美術絵画を見ているようだ。そして構図。舞台と同じで上方へ姿を消そうとしているのは修験僧、そして下方に貴族の若者。うまいっ
ガラスの境目がちょうど画面中央にあるので斜めからしか写真取れなかったけどいい作品だな〜!
神像。ほぼ等身大の像。
写真ではスケール感が出なかったが、実物はすごい迫力がある。わずかに左を向いている頭部がうねり感を出して、異様な存在感を引き出している。
一見とてもシンプルなのにこの迫力はなんだろう?この表情がこの迫力を生み出しているのかしら?
神像としてとてもふさわしい作品。
こちらの女神像も素晴らしかった。ゆったりと構えるそのお姿、ちょっと固めの表現は、神力あふれる女神にふさわしい。
西洋絵画や外国では季節感あふれる作品を作るという考えがそもそも無い。公募展などを見ても風景を描いた作品はほとんど見かけなくなってしまった。それだけ自然と離れた暮らしを現代人は送っているのだ。
季節を感じるために東博へ行くのもいいものだと思った。
別件だが、「空海と密教美術展」会場に足を運んだら、仏像の背中を見て、若い女性が連れの男性に「う〜ん男性のものでも女性のものでもない‥顔は男性よりだけど、仏像の背中って不思議だね」と話していた。
う〜んたしかに。でもどっちかというと、セクシーな東寺の仏像達の背中は中年の肉付きのよい女性(私のような!)の肌と背中だと思うんだけど、いかん?