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秋の東博が面白い!

「なんだこれは??」東京国立博物館の1階18室(近代絵画)をのぞいての印象。爆発的に目立つ作品が並んでいる。
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まず部屋の突き当たりにあるのが安田靫彦(1884~1978)「御産の祷(おさんのいのり)」1914年(写真右、部分)。一番目立つのが、画面左下に白い衣服を来た女達。中央には乳をだした女。3人が上を向いて必死に祈っている。視線を上のずらしてゆくと、僧侶が祈る姿。更に上に視線をずらすと祈りの護摩火。その奥には赤と黒に覆われた恐ろしげな不動明王。

紫式部日記の中宮藤原彰子の安産祈祷場面を描いたものらしい。再興院展の第一回に出品作で、安田靫彦40歳の時の傑作ではないだろうか。

下方の衣装と肌の白と、艶かしく流れる髪の黒、上方の赤と黒の対比とコントラストが絶妙。「なんとしても元気な子を産みたい、できれば皇子を」と登場人物達の声が聞こえてきそうだ。ちなみに彰子は皇子を二人産み、この二皇子が、道長一家の繁栄の基盤となるそうだ。

写真左も見れば見るほど何か言いたげに見えて来る(作者名みてくるの忘れたので名前は後で)。

写真中央は今村紫紅(1880~1916)「説法」1910年。今村紫紅は35歳でこの世を去るが、この作品は30歳の時の作品。紫江は常々「日本画がこんなに固まってしまったんでは仕方ありゃあしない。とにかく破壊するんだ。出来上がってしまったものは、どうしても一度打ち壊さなくちゃ駄目だ。そうすると誰かが又建設するだろう。僕は壊すから君達、建設してくれ給え。」と言っていたらしい。その言の通り、この作品は日本画なのに点描で描いた画期的作品だ。今村紫紅もまた再興院展の第一回に出品していて、その作品(熱国之巻)もまた東博に展示されている。また紫紅が亡くなった時、墓石は安田靫彦が書いたというのもつながりがあって面白い。

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こちらは2階で展示されている江戸時代の火事の時の装束。火で燃えないよう右が革、左は裂いた布を団子状につなげて作ってある。なんといっても目立つのが中央の赤い火事よけ衣装。女性が着たものだということだけど、まっかっか。ずきんは目のところだけが開いていて、なかなか役に立ちそうだ。

他にも江戸時代の寛永寺の様子を表した歴史資料、11月の炉開きに合わせた茶道具の展示等、どれもこれも興味を引く展示内容だった。空高く、青空広がる芸術の秋。美しい建物と作品に囲まれた博物館に是非行ってみて下さい!でもやっぱりおすすめは18室。平櫛田中の彫刻作品など、ちょっとよそでは見る事ができない名品が相当数並んで圧巻です!
by office-maki | 2011-10-18 18:16 | 東博が好き | Comments(0)

制作した作品と、日々の感動を自由気ままにアップしています。下の各カテゴリ(●絵、★文章)もどうぞご覧下さい(^-^)♪ なかま まき


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