衝撃の出会い:佐野編
2011年 12月 16日
「そーいえば、お母さんがドーナッツ初めて食べたのは、いつ?」
「小学校入った時くらいかしら。小学校高学年の時には、誰かの誕生日に必ず姉ちゃんがパンケーキを焼いてくれたし。」
「カレー初めて食べたのは?」
「佐野には進駐軍の基地があったから、進駐軍の缶のカレースープが固いコッペパンと一緒に小学校の給食に出たな。パンはまずかったけどカレーはおいしかった。しばらくして母親が家でカレー粉と小麦粉でカレーを作ってくれた。具にはんぺんとかちくわとか入ってて、おいしかった。皆が喜んで食べてる姿を、母親が幸せそうに眺めてたっけ。」
「コーヒーは?」
「やっぱり小学校高学年の時で、兄ちゃんがあの当時大学生で寮で暮らしてて、バイトしたお金でインスタントコーヒーとコーヒーカップを買って帰って来たの。大晦日に皆で砂糖たくさんいれて飲んだんだけど、そのあとみんなで眠れなくなってね。”コーヒー飲むと眠れなくなるんか”って皆で驚いたっけ。」
「じゃ、スパゲティーは?」
「大人になった頃かな?」
「コロッケは?」
「コロッケは子供の頃からあったわよ。シュウマイと一緒で、学校帰りのおやつによく食べたなあ。寒い時に道ばたで湯気吹かして売っててねえ。」
でたっ!佐野のシュウマイ!!
佐野シュウマイ。それは”なんちゃってシュウマイ”。
戦後の貧しい時期、「中国には焼売というものがあるらしい」と誰かがまねて作ったもの。肉は全く入っていない。佐野や足利や葛生で生産した片栗を使った料理だ。
フライパンでタマネギをじっくりゆっくり焦げ目がつかないように炒める。しばらくするとタマネギから水分が出て来るので、ボールに移して片栗粉でぐっちゃぐっちゃと練る。それをふたくちサイズに丸め、せいろで蒸す。
醤油をかけて食べるのだけど、味はタマネギの甘さだけ。歯ごたえは悪い。今でも1〜2軒がこの片栗シュウマイを作っていて、私も一度だけ食べた事がある。おいしいとは思えなかったけど、当時の人たちの、「ある物でおいしい物を食べよう」とするこの情熱がスゴイ。
母の出身である栃木県佐野市は、今もやたらとエンゲル係数が高い町。なぜか小麦粉料理がとてもおいしい。
佐野には、おいしいものが本当にたくさんある。佐野は古くから城下町として栄え、染色業や鋳物(茶釜が有名)で発展し、工場が多かったために中国人も多く、進駐軍の基地があったことで水商売も栄えた。戦後でもけっこう豊かな町で、弁当を食べれなかった子は比較的少なかったらしい。
現在、佐野市は厄除大師、アウトレット、佐野ラーメンで有名だけど、特筆すべきはなんといっても、いもフライ!
佐野には、他にも野村屋の耳うどん(すいとんのようなもの)、踏切寿司(非常に甘い稲荷と巻寿司)、大根そばなどいろいろある。いろいろおいしいのだけど、佐野駅前にある栗田蕎麦店は、母の小学校の同級生「栗田君」の店。おいしいので是非行ってみて下さいね♪
PS: 佐野は、田中正造の故郷であり、森高千里「渡良瀬橋」の舞台でもあります。いいところだなあ、佐野!