東博「ボストン美術館 日本美術の至宝」展を見て来た
2012年 03月 30日
時は廃仏毀釈。仏教に関わる作品や日本美術の名品が価値を失った頃。
岡倉天心とフェノロサ等は、せっせと外国人好みの作品をアメリカへ運んだ。
「どうして日本の宝を外国へ持っていたのか。やつらは非国民だ」と文句を言った人だって多かっただろう、そしてアメリカに渡る際に損なわれた作品だってあっただろう。
でも結果的に、彼らによってこの子達は救われた。最高の水準と数の名品が、日本を離れていたために現代に残された。まるで日本美術のタイムカプセル。素晴らしい文明をもった過去の宇宙船の偶然の漂着。
「これから物語はどうなるのかな?」とわくわくしながら「吉備大臣入唐絵巻」を見進め、「平治物語絵巻」の兵馬の迫力に舌を巻き、平安時代や鎌倉時代の仏教美術にうっとりとする。
麻薬でトリップしている時に見そうな7色の日輪をしょっている、敦煌の壁画に描かれているような菩薩図があって、中国の影響を感じる事ができる。「この作品欲しい!」と思う物が並ぶ。
着物や刀、彫刻等、どれも素晴らしかったけど、やっぱり絵画が最高に素晴らしかった。狩野永徳、狩野探幽、土佐光起、若冲、曽我蕭白!
蕭白の龍には「オレ様油ののった34歳の時の絵だ!」といわんばかりの堂々とした文字も見える。ああ、そうですか。若い時に「どうだっすごいだろう!オレ様の作品をもっとよく見ろ!」と思って描いたのね。蕭白くん、本当にすごいよ〜〜!!
ほんとうにすばらしい展示品が並ぶ。興奮して1人だったけど、独り言が思わず口から飛び出す。「ひょえ〜すごい〜」「ふえっなんじゃこりゃ!」「綺麗だよ〜欲しいよ〜」
なかでも見たいと思っていて、やっぱり特別に印象的だったのが、尾形光琳の作品「松島図屏風」。ひょえ〜オレンジ色の地に青の顔料!その隣には緑!この色の組み合わせはなんだ??なにをどうやったらこんな色の組み合わせを思いつくんだ??ふえ〜この色の組み合わせひとつとっても尋常じゃない!すくなくても今の日本画の世界にはない!
大興奮のまま会場を渡り、見終わった後もしばらく余韻にひたった。この展覧会は作品数はそれほど多くないけれど、屏風が多いのでほんとうに見応えがある。
どれをとってもぴかいちのインパクトの作品ばかりが並ぶ。東博「ボストン美術館 日本美術の至宝」展。みなきゃ、大損!
余談だが、前の日、NHKで「オルセー美術館は印象派の作品をより良く見せるために大改装を行い、壁の色を青みがかった濃いグレーに変えた」という番組を見たけれど、この特別展の曾我蕭白や鎌倉時代の巻物の展示の壁の色も青みがかった濃いグレーだった。絵画の世界ではジェットブラックという色だ。「やっぱり作品の映え方は断然壁に色がついている方がいい」と確認したのだった。
私は松島屏風図を昔、JALのカレンダーでみて、見たいなあと憧れていました。
オルセーわたしも見ました。
やっと改装してくれたか、、って感じですね、、
数年前に初めて行って安っぽいクロス壁に名作が並べられ、見るのも疲れる展示でした。
それから数回パリに行ったけれど、オルセーでがっかりしたくないから、見にいってないんです。
この壁の色については写真技法にも通じると思うので、ブログに記事を書いてみたいな〜と思います。
イギリスのナショナルギャラリーの壁は各部屋色とりどりでしたが。色の組み合わせって目の錯覚を伴うから本当に重要ですよね。
テレビの天海祐希素敵でしたねえ!オペラ座行ってみたい!今年か来年にはスペイン・イタリア・フランスに美術の旅に行きたいなあ!!
私も「ボストン美術館 日本美術の至宝」に行ってきましたので、興味を持って読ませていただきました。
日本の優れた美術品がたくさんボストン美術館にあるのに驚きました。
私が特に印象に残ったのは「平治物語絵馬」と大好きな尾形光琳の「松島図屏風」でした。
私は尾形光琳の魅力を根津美術館以外で見た作品も含めてまとめてみましたので、ぜひ一読してみてください。
ご感想、ご意見などどんなことでも結構ですから、ブログにコメントなどをいただけると感謝致します。
ボストン美術館展は、まだ開催中ですので、機会があればご一緒して作品論を戦わせたいですね(^_^)。