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縄文の女神かビーナス、深沙大将と萩尾望都

東博に行って驚いた。お客の数がハンパじゃない。「さすがゴールデンウイーク、さすが上野、さすがは特別展」と思ったけど、他にも見物がいろいろとあった。

本館で「平成24年 新指定 国宝・重要文化財」特別展示を行っていた。昨年まで知らなかったのだけど、毎年国宝や重文は増えていて、新しく認定された作品は毎年この時期に東博で展示されるらしい。

狭い部屋に、迫力のある作品が所狭しと並ぶ。(今まで認められていなかったとはいえ)さすが国宝や重文クラス。圧倒だ。

中でも注目を集めている作品があった。山形県西ノ前遺跡出土の土偶だ。新聞などで「縄文のビーナス」と騒がれているらしい。
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あとで調べたら「縄文のビーナス」は別にあり(長野県・棚畑遺跡から発掘された妊婦をかたどった土偶、1995年に国宝指定)、今回の山形県・西ノ前遺跡出土の土偶は「縄文の女神」と呼ばれて来たみたいだ。
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とても美しい土偶で、今まで国宝指定されてなかった事の方が不思議。東博の説明では2000〜3000年前、新聞では3000~4000年前のもの。いずれにせよ古くて、丁寧に作られた土偶だ。そしてお尻がくいっと上がっていてとてもスタイルがいい。ブーツカットのジーパンをはいた黒人ダンサーみたい。そして文様がとても丁寧で綺麗。いやあ、素敵!

他にもいろいろ見所満載だったけど、1階の彫刻室に展示されている新規重文指定の金剛峰寺「深沙大将立像」が圧巻だった。首は髑髏のネックレスを巻き、腹には人の顔。腕に蛇を巻き、膝には像の顔。すんごい迫力!寺では快慶の作品と伝わっているようだ。
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「深沙大将」は、”深沙神、深沙大王とも呼ばれ、玄奘三蔵がインドへ行く途中、砂の中から現れ、玄奘を守護したと伝わる。姿は、1面2臂で髑髏の瓔珞をつけ、象革の袴を履く、持物については一定しないが、蛇や戟を持つものがある”そうだ。

この作品、見た事あると思ったら金剛峰寺のもの。解説書をみると、所蔵者として鎌倉の建長寺に長谷寺、箱根神社、京都の東寺、奈良の斑鳩寺などそうそうたる有名どころの名前が連なる。こんなに有名なお寺の所蔵品ですら今頃新しい認定があるという事は、全国にはまだごろごろ名品があるはずだ。

現在全国の国宝の数は868点、重文は10,478点。たった1000以下の国宝しかないなんてちょっと信じられない。この不景気だから調査費用がなかなか出ないんだろうなあ。未来へ残すためにも、外国へ対する日本国の面子のためにも、ケチケチせず文化財の数をどんどん増やしたらいいいと思うのであった。

余談だけど、この金剛峰寺の「深沙大将立像」。光瀬龍原作で萩尾望都の漫画「百億の昼と千億の夜」に登場する”阿修羅”のモデルは興福寺の阿修羅像とこの金剛峰寺「深沙大将立像」だと確信。玄奘の旅を守る深沙大将のイメージを、シッタルダの旅を守る阿修羅に重ねたんだろう。さすがは萩尾望都!萩尾望都さんとは誕生日が同じ5月12日なので親近があるのだけど、さすがだ!
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by office-maki | 2012-04-30 10:09 | 東博が好き | Comments(0)

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