仏陀とイエス、摩耶とマリア
2013年 06月 02日
釈迦の誕生物語。
時は春。釈迦の母親である摩耶夫人は、出産のためお里帰りするところ。途中、ルンビニーの花園で休憩をとった。木に手をかけた時、彼女の右脇から男の子が飛び出した。そして赤ちゃん釈迦は七歩歩き、右手で天を指し、左手で地を指し、「天上天下唯我独尊」と言う。その時、龍が甘露の雨を地上に降り注ぎ、釈迦の誕生を祝った。
東洋館2階のガンダーラ仏像が展示してあるスペースに、それほど大きくないレリーフが多数展示されている。その中には摩耶夫人が釈迦を生むシーンがある。法隆寺宝物館の摩耶夫人はこちらでは完全にギリシャ彫刻のようで面白い!
この生まれたシーンと死ぬシーンが、隣合わさっているのが面白い。ヨーロッパの教会に行くと受胎告知(マリアが妊娠したことを知るシーン)と十字架(死ぬシーン)が並んでいることが良いのだけど、それと同じ。
そういえば仏陀もイエスも不思議な生まれ方をしている。仏陀は生まれて7歩歩き、摩耶夫人は釈迦の誕生7日後に死ぬ。旧約聖書では世界は7日かけて作られるのだけど、仏教とキリスト教にはいろんな共通点がある。
イエスの母マリアに天使が妊娠を告げたように、仏陀の母親マヤも不思議な夢を見て妊娠を知るのだけど、マヤは妊娠のせいで7日後に死んでしまう。一方のマリアはイエスの死後30年以上生き延びたようだけど。
「そうか、摩耶夫人はこのあと死んでしまうのか」と思いながらこれらの作品を見ると感慨深い。お釈迦さんが悟りを開く道に進んでゆくのも、自分を産んだことによって母親は死んだという罪の意識が会ったのではないかな?など想像を膨らませるのだった。