災害の日の夕日
2013年 09月 16日
坊さんが震災地の人々の愚痴を聞いて回る「Monk de cafe」という活動を先日福島にいる時テレビで見たけれど、その住職が「3月11日は多くの命が失われていったが、その日の夕日も星もとても美しかった。自然は我々から希望を奪いもするが、与えてもくれる」ということをお話しされていた(私の意訳かもしれない)。
梨木利香の小説「裏庭」にこんな一節がある。(文庫P.21~)
「わしが出征する前の日、夏夜ちゃんから聞いた。風の冷たい夕暮れじゃった。...真っ赤な夕焼けがひろがっとったのを、今でも覚えてるよ、あんな恐ろしいような、すさまじいい夕焼けは、それまでもそれからも見たことがなかった。じゃがその晩、空襲でこの町もほとんど焼けてしまった。...今から思うと、あの夕焼けは、壊滅寸前のこの町に向けての、自然界の、挙手の礼のようなものだったかもしれん。静かな、別れの挨拶。沈没していく船に、乗組員がボートから敬意を表するような」