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NHKラジオスペイン語講座2002年6月号 掲載 VIVA MEXICO !

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メキシコの、朝は早い。
まだ暗い午前6時には、車の騒音がメキシコ市の1日の始まりを告げる。

冷たい大気の中、学生やビジネスマンと労働者たちを待ち構えているのは、朝の売り子達だ。自転車で甘いパンやフルーツ、搾りたてのフルーツジュースなどを売りに来るのだが、特に人気があるのはtamalesというトウモロコシの粉を油脂で練り、中に鶏肉やチーズを入れたものをトウモロコシの皮に包んで蒸したもの、牛乳にコーンスターチでトロミをつけた甘い飲み物atoleだ。冬の寒い朝、熱々の湯気を立てているのを見ると、これらコレストロールからの誘惑から逃れるのは非常に難しい。

すこし小腹がすいた午前11時頃、今度は軽食の時間だ。この時間になると町のあちこちに自転車に乗ったタコス売りの男が出没し、屋台のタコス屋とトルタ(サンドイッチ)屋が店を開け始める。人々は外に出て、たっぷりチリソースとレモンをかけてタコスやトルタを手をべたべたにしながらほおばり、甘い炭酸飲料で喉をうるおす。個人的な意見だが、もしあなたがメキシコで庶民の味を知りたいと思われるなら、屋台で食べてみることをお勧めする。格別にうまいのである!もちろんメキシコ人でも「屋台は不潔だから」と避ける人もいるが、客が多い店は清潔で安くてうまい。

午後1時過ぎ、ようやく昼食の準備がはじまる時間だ。街中あちこちからタマネギやニンニクを炒める匂い、トマトを煮る匂いが漂ってくる。レストランや定食屋が店を開くのもこの頃だ。メキシコ人にとって昼食は1日のうち最も大事な食事で、たいていは家族と一緒に食事する。そのため、1時から3時、場合によっては4時から5時頃遅い昼食を食べる。一般的にはスープにはじまりスパゲッティーかご飯を炒めたもの、肉料理にflijores(塩味の豆煮)を添えたものの3皿を食べる。まず席に座り、トルティージャに卓上のサルサや塩、レモンをたっぷりとかけて食べながら、料理の到着をまつ。ゆっくり時間をかけて食事を楽しむのがメキシコ流だ。料理はたいてい辛いので、tamalindoというフルーツジュースやうんと甘くした真っ赤なハイビスカスティーを飲みながら食事を進める。食後のデザートは、グアヤバや洋ナシを砂糖で練った羊羹のようなateやプリンなどをたべる。いずれも絶対にこってりと、甘い。

昼食後が一日のうちもっともくつろげる時間だ。子供たちは遊び、大人たちは友人と会ったり仕事に戻ったりとさまざまである。各自思い思いのことをして、午後9時パンやコーヒーで簡単に夕食を済ませ、こうして1日がようやく終わる。

メキシコの伝統料理は煮物が基本だ。植民地時代に、金持ちがたくさんの料理婦を雇うように料理内容が煩雑になったと聞くが、真相は私は知らない。でもメキシコの伝統料理は食材を煮込むものが多いのは事実だ。煮料理の代表的なものに、チレや胡麻、それにアーモンドやチョコレートを一緒にすりつぶし長時間煮こんでソースをつくり、それを鶏肉などにかけたmoleという料理がある。たいていごはんと一緒に食べるのだが、日本のカレーに似た料理でもある。マヤ・アステカの時代にはメキシコにコメは存在せず、スペイン人によって持たらされた、と言われている。でも私は、「チアパス州に根をおろした榎本殖民団と彼らの子孫が、メキシコでおいしいコメを生産し、米食を広めたのだ」と一人想像している。だからこれほど米がメキシコという地で受けられているのではないだろうか。
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食べ物についてはこのくらいにして、太陽の国メキシコを象徴するお酒の数々について紹介したいと思う。
古くからメキシコではpulqueという龍舌蘭(サボテンの一種)の根から作る発酵酒が愛されてきた。とろみのある濁酒で、いまでも地方で飲むことができる。スペイン人達が入ってきてからは修道院でリンゴ酒や卵の黄身を使った甘いお酒lompopeが作られるようになり、今でも広く飲まれている。多くの人が砂糖キビから作られるラム酒ronを愛飲し、ブランデー、赤ワインも人気がある。
ビールもおいしい銘柄がたくさんある。有名なcolona、日本人が好きなboemia。レモン汁でビール缶の上部をぬらし、塩をつけて飲むtecateなど、どれをとっても太陽の降り注ぐ浜辺、辛いメキシコ料理には最高のパートナーだ。

しかし何といっても、そう何といっても、メキシコが世界に誇る酒といえばテキーラしかない。
メキシコでは人が集まる時には必ず卓上にテキーラが、上がる。「salud!(乾杯)」の一声が上がればもうそこはフィエスタの舞台だ。陽気に歌い踊り、酒を飲む。

チレやトマトジュース、コーラで割ったりと、テキーラの飲み方は様々だ。若者からお年寄りまで、みんなが愛する酒、フィエスタの主役となりえる酒は、テキーラを除いて他にはない。メキシコの国民性を見事に表現したテキーラは永遠にフィエスタの主役であり続けるだろう。

6月号の表紙:「父親からシカの踊りを習う子供」
このように幼いうちから伝統文化を継承していく姿をよく見かける。
Commented by office-maki at 2009-03-01 23:53
あーメキシコ料理がたべたいなーっ!!
by office-maki | 2008-12-29 17:41 | ★NHK西語講座2002 | Comments(1)

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by office-maki
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