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9「日本語祭り(後)」2007年11月

日本文化祭りの二日目となる4日(日)は、AM7:00起床。
AM8:00ホテルのチェックアウトを済ませて、町に朝ごはんを食べに出かける。休日の朝靄の町は、すでに活気に溢れていた。「銀川は餅子(ビンズ、しょっぱくて平たいかもさもさしたパンで、中国西北部の食べ物)がおいしい」と銀川出身の呉さんの奥さんが以前話していたので、餅子を食べることにする。こっちの人は朝ごはんはこの餅子をよく食べる。どの餅子の店も人だかりでいっぱいだ。その内の中で食べることのできる店で餅子とワンタンを食べた。私は普段は甘いパンの方がしょっぱい餅子より好きだけれど、たしかに銀川の餅子はおいしかった。

今日の閉幕式が終わるのはPM17:00頃。アラシャンに戻るバスやタクシーは18:30にはなくなってしまう。その後、アラシャン左旗行きの白タクの乗り場へ行き、一人のドライバーを捕まえた。なんとそのドライバーは私達の友人であるモンゴル人とも友人であった。まさかこんなところで彼の名前を聞こうとは・・恐るべし。間違いなく私の名前も電話番号も、私の知らない何処かで交わされているに違いない・・・

ドライバーの携帯番号を聞き、PM17:00に寧夏大学の校門に迎えに来てもらうことに。その後、スーパーと本屋へ向かう。文化祭りのプログラムにはAM9:00からは華道実演、AM10:00からは剣道実演とあった。すでに遅刻である。石田さんに大変申し訳ないけど、でも閉幕式の後に買い物へ行く時間はないし、私たちも教材に使うものをどうしても今日中にそろえたいのだ。明後日の公開授業で見せる版画の本が見つかったらいいのだけれど。

本屋を出た頃にはすでに11時半。AM10:00~AM:12:00に予定されている日本料理をつくる時間帯までには行こうと思っていたけど、今から行っても間に合わない。そしてお昼をすぎたらPM14:00から始まるスピーチコンテストまで特に活動はないはずだ。

結局コーヒーを飲みに入ったケンタッキーで(もちろんアラシャンにはまだない)お昼も食べ、大学へ向かう事に。湖南省の都会のファーストフードの店内では、きちんと注文をしている人は半分くらいで、残りはみな自分で好き勝手なものを持込して食べていたけれど、ここ銀川のファーストフードには持込をしている人は一人もいない。白い帽子を被った回族のおばちゃんまできちんとハンバーガーを食べている(イスラム教徒も鶏肉はOKだ)。マナーまで進んでいる都会だ。

前日タクシーで24元もしたので、今日はバスで大学まで行く事にした。1.5元ではあったが40分以上かかって大学の門から離れた所に降り立った。ホールに到着した時にはすでにPM13:45。まもなくスピーチコンテストも始まる時刻だ。

到着早々、溝尻くんに「名嘉真さん、この大事な文化祭りを差し置いてどこいってたんですか~!」と怒られた。本当にごめんなさい・・m(_ _)m

会場では小河原さんや日本人留学生が餅をついており、日系企業の方が餡をはさみ、黄な粉をまぶしていた。何もしていないので、恐縮しつつも頂いたお餅はやわらかくて大変おいしかった。心の中で(たいそうおいしゅうございます~!)と感謝、これだけ多くの学生さんたちに食べさせてあげているその事に対しても感謝。本当にこの文化祭りは手の温もりで溢れている。そしてまたそれは、学生に対する愛情の温もりでもある。

連れの細井さんは「私の学生にも見せたいから」といってスピーチコンテストの発表をビデオ撮影していた。彼女もまた、学生に大きな愛情を注いでいる人物であった。

スピーチコンテストの中で印象的だったのが二人の学生の発表内容。
ひとりの学生の発表は「10年後の私はきっと子供を産んですこし太って、子供と夫の服を洗いながら、ささやかな日常の幸せにそっと微笑むような平凡な主婦になっていることでしょう」という内容だった。中国の発展が成熟期に達して、物質的にはある程度豊かになり、中国の人々は今「幸せとは何か」を改めて見つめなおそうとしている、そんな印象的な発表だった。

もう一人の学生さんのスピーチは「僕は日本が大嫌いだった」という内容から始まった。
彼いわく、映画などで野蛮な日本人をみて日本が嫌いだったこと、大学で語学を専攻する時、嫌いな国日本について知りたいと思ったこと、そして石田先生との出会い、日本へ行って人々が親切にしてくれたこと、もっと日本を知りたいと思っていること、他の学生達にも日本についてもっと知って欲しいと思っている、という発表内容だった。

情熱を込めて話す彼の口調からは彼の気持ちがまっすぐ伝わってきたし、また日本語も大変上手だった。多くの日本人との出会いが、彼をここまで日本語上手にさせたのだろう。そして、彼は今、銀川の日系企業で研修生として働いているということであった。

彼の気持ちは私の気持ちでもある。私も「日本人のことが嫌いな中国人」が大嫌いであった。それはマスコミの先導的な報道のせいでもあったし、中途半端な知識のせいでもあった。でも私自身が中国に来て、彼のような中国人との出会いを通じてどんどん中国が好きになる。もっともっとこの国についてしらなければ、と思う。

日中両国はお互い無視せずにはいられない隣国についてもっともっと知らなくていけない。中国が日本について研究する以上に、日本はもっともっと中国を研究しなければいけない。

「できる手段として、中国人を知るために中国語をがんばって勉強しなくちゃなあ。だって言葉は文化の、その国の価値観の現れであるもの」と彼のスピーチを聞いていていつものように反省した。

PM16:00、スピーチコンテストも終了し、JICA中国事務所の渡辺さんの挨拶で無事今回の銀川における日本文化祭りは無事終了した。渡辺さんの挨拶の内容は「日本語を学ぶ学生の皆さん、日本のいい所について沢山学んで下さい、伝えてください。私たち中国にいる日本人もまた中国のいい所について沢山のことを日本人に伝えて行きたいと思います」という内容であった。まさに私たち中国に派遣されている私たちのもっとも大きな任務はこれに尽きると思う。その後、観客席からは「実にいい挨拶だった」という声が多数聞かれた。

時刻はすでにPM17:15、私たちが予約した白タクは大学の校門で待ってくれている。お別れの挨拶もままならぬうちに、任地へ戻るための白タクに飛び乗った。

帰りの道は、電気ひとつない荒野をつきぬけていったけど、その先には人々の温もりがある。そこで私たちは人々の優しさに囲まれながら責任を果たさなければならない場所が待っている。

「石田さんがこのイベントを成功させたように、私もアラシャンでイベントができるだろうか?するとしたらどんなことだろう?」そんなことを考えながらPM19:47、無事家に到着した。実に学ぶことの多い二日間だった。

帰ってから気が付いたのだけれど、石田さんの写真を一枚も撮っていなかった!(>_<)それくらい裏方に徹していた石田隊員、本当にすごい。

写真は餅つきの様子。日本からの留学生達もまた日中交流の架け橋になっていた。
みなさん、お疲れ様&ありがとうございました!そして何も協力しなくて、本当にごめんなさい・・・
by office-maki | 2008-12-23 18:13 | ★JICAブログ2008 | Comments(0)

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