吉本有里コンサート
2011年 07月 18日
美しく穏やかなバイオリンのメロディーが広がってゆく。まるで川の流れのように、水の波紋のように。
吉本有里さんの名前は協力隊時代から知っていた。彼女の住んでいる長野県駒ヶ根に協力隊の訓練所があるからだ。でも今、ちょうどいい時に彼女の言葉や音楽に触れられたと思う。とても心に染みたから。
吉本さんは曲を作る時「歌が聞こえてくる。何度も、何度も。最初は誰かの曲なのかな?と思ったけれど、そのうちにそれが自分が歌うべき曲であることがわかった」と言っていた。この感覚は理解できる。彫刻家が石の中に掘り出す仏の形が見えそれを掘り出してあげるだけのように、絵描きがキャンバスの上に描くべき絵が見えてくるように、小説家が物語が細部までくっきりと目に見えるように、歌手もその歌が聞こえるのだろう。
正直なところ、私には「くっきりと見えてきた」経験が数度しか無い。ずっと見ていると様々な形が「私を出して」といくつもの雑音が聞こえて来てしまう。
そのようにして生まれた吉本さんの歌は、どこかで聞いた事があるような、すっぽりと手のひらに収まるような安心感がある。私もそんな風に作品を生み出していきたい、神様の表現をこの世に生み出したい、と思うのだった。
吉本有里さんの歌はホームページにて聞く事ができる。特に人気のあった「帰ろう」がおすすめ。(吉本有里ホームページ)