一人だけのとっておきの場所
2011年 09月 18日
「人が多すぎて、疲れたよ。これじゃあ(人口の多い)中国にいるのと変んないよ‥‥」
東博で中国人グループのお客さんと交わした会話。たしかに、この日はお客さんが非常に多かった。
博物館は広い。1万人以上の来館者を迎えても、博物館の中には人影の少ない場所も多い。
来館者でにぎわう博物館の中で、一人だけぽつんと座る男性を見かけた。閉館中の東洋館の壁にもたれて洋書を読んでいる。雑踏と照りつける太陽からも離れ、静かで涼しくて眺めのいい(本館と表慶館が一服の絵のように見える!)場所。
あーいいな〜。ここは良い場所だなあ〜コンクリートの床が冷たくて気持ち良さそうだ。私も座りたい。ごろごろした〜い!
晴天の日差しの強い日の東洋館の軒下の空間は、まるでメキシコの遺跡みたい。アステカやマヤの遺跡を訪れる時は必ずと言っていいほど、日差しが強烈で暑い。照りつける太陽の下、遺跡には必ずそれらの建造物を造った石工たちが休憩したであろう日陰があって、旅人もその日陰でくつろぐのだ。
旅先の場合、ごろごろして遺跡を訪れた余韻を味わう。しばし、今はいないその建造物に暮らした人々の事を想いぼーっとする。これぞ遺跡を訪れる醍醐味!
東洋館の軒下で、その男性からちょっと離れ、私も遺跡と同じ空間と空気を楽しんだ。「次回、お天気だったら私も本とおやつと飲み物持って行って、東洋館の軒下で過ごすぞう!」と思うのだった。