金唐紙つくりを体験した
2011年 10月 11日
旧岩崎邸園。美しい木造の建物で1896年建築。東博の表慶館(1908年)、芸大の赤レンガ倉庫(1880年)、とほぼ同じ時代の建築物。
金唐紙のワークショップは撞球室(ビリヤード場)前の野外で行われた。講師は、上田尚氏。明治の日本の輸出品であった金唐革紙を、現代に復元し岩崎邸の壁の金唐紙を制作した人だ。
最初に、金唐紙の作り方のビデオ(20年前に江戸東京博物館が作成。上田氏の全作業工程を撮影したビデオ)を見る。
江戸時代、オランダ人によって日本にもたらされた金唐革紙。革にレリーフ状の模様をつけ、金属箔を張り、その上に彩色を施したもので、それを革ではなく紙で作った物が金唐紙。明治になると金唐紙は日本の輸出品としてもてはやされ、ヨーロッパの宮殿の壁を飾る壁紙として珍重された。
上田氏はこの金唐紙の再現に成功した。それがこの美しい壁紙。畳1枚つくるのに5時間も紙をたたくそうだ。
こうぞ紙にみつまた紙を張り合わせ、錫箔をはり、型木にあて、裏からブラシでたたき、型に紙をそわせる。レリーフ上になったら、箔面に黄金色のニスを塗り、着彩をして完成。
私が選んだのは牡丹文様。明治時代の型木だ。筒型をしているのは、上記のようにロール上の大きな紙を作るため。うれしそうな私!(笑)
上記の作業をする待ち時間には、洋館の金唐紙を見たり、和室でコーヒーを飲んだりして思い思いに過ごした。岩崎邸園でボランティアしている方もワークショップに参加していて、いろんな話を聞けた。それにしても岩崎邸園、お客多いなあ!
この日のワークショップ参加者は30名。「金唐紙の友の会」の人や、岩崎邸園の元館長や職員さんがスタッフとしているそのせいか「ここのところ刺し色として薄藤色を使いたい」「図柄の出が甘いね」など素人ではない言葉が聞こえて来る。
私の絵具だらけのエプロンを見た参加者の一人に「あなた画家さんでしょ?」と声をかけられた。彼女も画家だという。このワークショップは参加費が3500円。少々高いのにも関わらず参加するのだから、そんな人ばかりが集まるんだろう。
上田氏の後継者である池田さんは芸大日本画出身で、2年間同じ時期に芸大に通っていた事が分かった。こんなイケメンに覚えはないけどなあ(笑)。
上がワニスを塗った状態。金箔とは異なり、凹部にニスがたまり暗くなるのが良い。作品サイズが、はがき2枚程度と小さいのが残念!皆はアクリル絵具で色を塗っていたが、私は自宅に持ち帰り、テンペラと油絵の具で着彩することにした。暑くて疲れたんだもの〜。
で、こちらが完成作品。
上田先生、池田さん、関係者の皆さん、楽しくて貴重な体験をありがとうございました〜。今後の自分の作品に金唐紙を生かしたいと思います!m( _ _ )m