江戸東京博物館の「ヴェネチア展」見てきた
2011年 12月 03日
各章ごとにモザイク風の飾りがついた説明文が並ぶ。暗い展示会場の中、貴族の邸をイメージした赤い壁紙に説明書きの部分だけライトがあたり、文字が浮かび上がる。とても綺麗でイタリアやヨーロッパを彷彿させる会場だ。
しかも説明文が微妙に面白い。東博の素っ気ない簡略な説明書きに慣れているせいか、江戸博の説明書きの過剰ぎみさに注目する。たとえば、高下駄のような中世ヨーロッパの貴族女性が使用した靴についての説明文は「‥‥今でも女性はそうだが、特に中世ヨーロッパの女性にとって、他人より目立つことは宿命的であった。」宿命!(笑)。
イタリア語を翻訳した結果か、江戸博の持ち味なのかはわからないけれど、ミュージアムショップの手ぬぐい解説のビデオでは「見る人に江戸の遺伝子を思い起こさせる手ぬぐいを、あなたも身につけてみませんか」と、こんな説明文であったから、たぶん江戸博の持ち味なんだろう(笑)。
作品の話に戻ると、今まで「二人の高級娼婦」と呼ばれていた作品が、「(狩りに出た夫を待つ)二人の貴婦人」とタイトルを変更している。理由は、この作品に狩りの様子を描いた上部があった事が判明したため。
この作品の女性二人も膝下が妙にながい。やはり高下駄を履いているのだ。彼女達の豊かさは、豪華な衣装とともに下着の白い服がはみ出た豊満な腕を見てもわかる。妻である彼女達の視線は厳しく、妻としての貞節を表す百合や子犬が描かれている。
この作品は蝶番の跡があり、左側のパネルの存在を意味している。真ん中には脱ぎ捨てられた赤い靴、獰猛な犬がいる事から、もう一枚のパネルには、妻である彼女達と正反対の存在が描かれているはず。貴婦人達の存在を脅かす娼婦か、もしくは彼女の娘たちが描かれているのだろうか?画面下に描かれた手紙の文字が読めれば絵の意味が分かるはず。だけど残念ながら文字は小さく判読できない。しかし手紙は「恋文」を意味しているはずだから、やはり左側には恋に浮き立つ、自由奔放な若い女性が描かれているはず。何処かで発見されたら面白いのになあ!
特別展チケットには平常展示の見学料は含まれず、別途買わなくてはならない。出口には「再入場はできません」の文字。あれまあ、ケチだねえ、江戸博!
その上、会場出口を出たら、すぐヴェネチアングラスやイタリアのアクセサリーの販売をしており、女性達が群がっていた。私も釣られて何点か購入。「さて出よう」と思ったら今度は江戸博のミュージアムショップ。あまりのかわいさに、また何点か買う。江戸博、ほんとうに商売上手‥‥
そして特別展会場前には大きな熊手が飾ってあった。「年間100万人の来場者がありますように」だって。大型バスが連なって停車する江戸博、私も仕事で何度かきたことがあるし、この日も大型バスが40台は停車していた。有に100万人くらいの来場者はありそうだけど??
ヴェネチア展は12月11日まで。行く価値は十分にあり。しばしイタリアの雰囲気に浸れる事間違いなし。ルネッサンスの作品の数々を生み出した美の国イタリア、さすがの一言!